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がんばる商店街30選とは?/what's

発酵力豊かな酒米が育む 老舗酒蔵の元気な美味さ

ジャムとケーキ、焼き菓子などにとびきりの果実を求めるフランス菓子職人がいる。
その要望に応えるブルーベリー農園がある。
小粒か大粒、酸味と甘味、硬さに柔らかさ、収穫時期も幅広い。
紫色の一粒一粒に個性があり、その活かされ方は未知数だ。
消費者に届ける努力を惜しまないふたりが交わす会話は、生き生きと弾む。
無くてはならない甘さと酸味。溶け合う美味しさのように、プロの職人の会話を楽しんだ。

都筑 憲一[ケン&マイケルベリー]
磯崎 啓一郎[ルブラン]

都筑:今年で三年になりますね。エリオット限定。
磯崎:硬くて、酸っぱい、香りが強いもの。あとは、種あたりが少ないもの。
都筑:最初からリクエストは厳しかった(笑)。たまたま酸味の強いハイブッシュという品種を用意していたので、半未熟の硬い物を選んで出荷しました。
磯崎:ジャムにするとき、種がざらざらするでしょ。だから、種が少ない物が欲しかったんです。加工は、酸味と味の強さが大事。ジャムなどは皮が大切です。でも、市販のものは甘くて、酸味も味のうちなのに、なくなってしまうんです。
都筑:ブルーベリーは、大粒で甘いもの、皮が軟らかいものが「美味しい」と考えられていますよね。
磯崎:「糖度がいくつ」とか、甘味が優先されて、酸味と甘みのバランスがあまりよくない。酸味があるから美味しく感じられるのに。
都筑:磯崎社長が「甘さは、うちの作る仕事だから、邪魔しないでね」とおっしゃったのは嬉しかったですよ(笑)。甘さはケーキ屋さんの仕事。ぼくら材料を提供する者は邪魔をしてはいけないところです。
磯崎:そんな悪いこと、言ったかな(笑)。日本は生食、ヨーロッパは加工品が多い。だから、むこうの果実って、大きくないし、酸味も強いでしょ。味があるっていうのかな。生で食べると決して美味しいとはいえないかもしれないけど、加工することで、乾燥させたり煮たりすると、美味しくなります。
都筑:酸っぱいものは代謝されてぶどう糖に変って、それが甘味に変る。ブルーベリーは品種ごとにも酸味に強弱がありますから、品種と品種の混ぜ合わせで、季節ごとの味を楽しんでもらいたいんです。ひとつひとつ個性がありますから。 磯崎:最近やりづらいのは、品種本来の大きさよりも、大きいもの。つまり、水分が多くて瑞々しくて、甘味がある。結局、水分が邪魔して、ケーキ屋としては実にやりにくいんです。
都筑:なるほど。ブルーベリーも、今は地域問わずにどの品種も出荷している状況ですが、産地ごとに住み分けをすることは、品種や産地の特徴を出す上で重要だと考えています。

産地と街が出会うとき


春遅く、農園の内部はブルーベリーの緑濃い枝に赤みを帯びた白い花が咲く。
天面には白いビニールシートが帳られ、あたかも大きな蚊帳のよう。
やがて、花はミツバチの花粉交配を経て果実に転じ、小さな珠が粒に膨らむ。
ここは、そんなブルーベリーへの好奇心と憧れから生まれた農園である。
 ケン・アンド・マイケル・ベリー・カンパニーは、鹿嶋市にあるブルーベリー農園だ。肥料や水の研究者だった都筑憲一さんの作るブルーベリーは、合理的な栽培方法と行き届いた管理の下で、通常の粒の倍はあろうかという大きな実で評判が高い。
 都筑さんの栽培方法は、ブルーベリーの樹を一本一本アクアフォームという資材に入れて栽培する。ブルーベリーに適する土は酸性の土壌だから、中性の人工培土を白いビニール袋に詰めてポット状にし、そこへ酸性の液体肥料を流し込む。適度に酸性にした上で、病気の伝染を防ぎ、また連作障害を防ぐため、ポットを二・五メートルずつ離す隔離栽培方式を採用している。
 日本一のブルーベリー農園をめざして、現在も宮崎大学大学院博士課程でブルーベリー研究を続けている都筑さんが、鹿嶋市内の浜津賀と角折の二か所、あわせて三ヘクタール弱の農園を開いたのは、二〇〇五年。さまざまに工夫を凝らした大型農園だが、オープンの年に台風や爆弾低気圧がこの地域を襲う。ブルーベリーやその栽培ポット、浜風や鳥から防護するためのビニールメッシュなど、多大な損傷を被った。再開への道は夢に賭ける意気込みが切り拓いたが、同時に、より管理の行き渡った自然災害に強い農園へと再生を遂げていく。ところが、立ち直りかけた頃に、東日本大震災に見舞われる。
 震災による被害でもっとも甚大だったのは、風評被害だった。放射線量をこまめに計り、その安全性を訴えながら、少しずつ巻き返しを図り、本来の目指すべき農園をあきらめず、今日に至る。
 都筑さんの農園を訪れると、その種類の多彩さに驚く。丈の高低や幹の大小、暖地または寒地など性質によって区分けされ、北部ハイブッシュ、南部ハイブッシュ、半樹高ハイブッシュ、ラビットアイなどの多様な系列があると知る。こうした中から、環境適性を見極めて品種を選び出荷を続ける。春から夏にかけて、個性豊かなブルーベリーの成長とともに、都筑さんのシーズンが開花する。

救民妙食 vol.02